# 夜中の1時、ファミマのレジ袋を抱えながら
世田谷の1Kのドアを開けたのは夜の11時半だった。
玄関に昨日の缶チューハイの空き缶が転がっていた。拾う気力もなかった。自炊する気力なんて、もっとなかった。帰り道のファミマで買ったサラダチキンと、3本目になる缶チューハイと、それだけを抱えてソファに倒れ込んだ。
家賃9.8万円の部屋。マーケ部の仕事を終えて、電車で30分揺られて、コンビニに立ち寄って、それだけで1日が終わる。
Netflixを開いて、でも再生ボタンを押せなくて、気づいたら彼のSNSを開いていた。更新されていない。でも確認してしまう。何度でも。
これが2年と4ヶ月、続いている。
「片思い 諦め方」でGoogle検索したのは、もう何十回だろう。
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「諦め方を調べる」という罠の中にいた
検索すると、たくさんの記事が出てくる。「好きな気持ちを手放す方法」「執着を断ち切る思考法」「忘れるための7つのステップ」。
どれも読んだ。どれも試した。
でも翌朝になると、何もなかったように元に戻っていた。
しばらくして気づいた。「諦め方」を探している間は、まだ諦めていない。当たり前のことなのに、気づくのに2年かかった。
「諦め方を探している自分」は責めなくていい、とまず言っておきたい。それはあなたの感情がまだ本物だということの証拠でしかない。2年4ヶ月、世田谷の1Kで、夜中1時にサラダチキンをかじりながら彼のSNSを確認してしまうくらいの気持ちは、本物だ。弱さじゃない。
でも、「諦め方」を探し続けることで、何かが変わるかというと——変わらなかった。
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「好き」が消えない本当の理由
片思いが長引く理由を、「自分が弱いから」「依存体質だから」と思っている人が多い。
違う。
正確には、「好きでいることで得ているものがある」から続いている。
たとえば、好きな人がいると「もしかしたら」という可能性の中に住むことができる。「いつかあの人と」という未来があれば、今の孤独な夜も、意味のある待ち時間になる。
彼氏いない歴が2年4ヶ月で、去年3つ試したマッチングアプリは全部うまくいかなくて、12月の飲み会で職場の同期が婚約して笑顔が作れなかった。あの夜、トイレの鏡を見たとき、「かわいそう」より先に「でも、まだあの人が好きだから」という言葉が出てきた。
あの感情が何だったか、今はわかる。
「好きでいること」が、辛さに耐えるための燃料になっていた。それは弱さじゃない。でも、それだけに頼り続けることの代償も、確実に積み上がっていた。
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切ないのは、あなたが本気だった証拠
「片思いって、切ないよね」という言葉をあまり好きじゃなかった。
「切ない」って、きれいすぎる。
実際はもっとみっともない。夜中の1時にスマホを充電しながら彼のインスタを5回開く。Netflixの再生ボタンを押せなくて、ファミマの袋がまだソファの横にある部屋で、缶チューハイを空けて、それでも眠れない。朝起きたら、なんとなく彼の名前を打ち込んでいる。
そのみっともなさが、本気だった証拠だと思う。
切ないのは、大事だったから。消えないのは、本物だったから。
2年4ヶ月という時間は、あなたが真剣だったということ以外の何でもない。
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ある夜、「終わった」と感じた瞬間
変化は、特別な日には来なかった。
ファミマからの帰り道、世田谷の商店街を歩きながら、ふとスマホの中の彼のアイコンを見て、「私、この人のこと、もうほとんど知らないな」と思った。
2年以上見続けてきたのに、「知らない」と感じた。
インスタには会ったことない友達との写真が増えていて、先月から急に旅行の投稿が多くなっていて、私には想像できない生活があって。「あの人の日常に、もう自分は存在していない」という感覚が、静かに落ちてきた。
「諦める」というより、「終わった」という感覚だった。
爆発するような感情は何もなかった。ただ、商店街のドラッグストアの前で立ち止まって、「終わったんだな」と思って、缶チューハイを1本だけ買って帰った。
その夜は、Netflixの再生ボタンを押せた。
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Pairsを開いたのは、その3日後のことだった
「終わった」と感じてから3日後、Pairsのアプリをダウンロードした。
マッチングアプリはもう懲り懲りだと思っていた。去年、Pairs・with・tappleと3つ試して、ぜんぶうまくいかなかった。でも今回は少し違う感覚があった。「あの人と付き合いたい」ではなくて、「ちゃんと誰かと向き合ってみたい」という気持ちだった。
去年失敗したのは、アプリのせいじゃなかったと今は思う。まだ片思いを引きずっていたから、半分しか気持ちが入っていなかった。プロフィールを読んでいても、「あの人と比べて」という目線が抜けなかった。
Pairsをもう一度選んだ理由は単純で、会員数が国内最多だから。選択肢が多いほど、「この人しかいない」という認知が薄れていく。実際に登録してみると、マーケ系の仕事をしている人、世田谷近辺に住んでいる人、自分が知らなかっただけで、たくさんいた。
「相手との相性を、感覚じゃなくちゃんと確かめたい」という気持ちが強いなら、withの性格診断が面白い。自分でも気づいていなかった自分の傾向が言語化されて、「だから去年の出会いがうまくいかなかったのか」という納得感があった。片思いを長く引きずるタイプは、往々にして「相手のことをよく知らないまま好きになる」という傾向があって、withの診断はその癖を自覚させてくれる意味でも効いた。
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「片思いを乗り越える」の意味を、書き換えた
「片思いの乗り越え方」で検索すると、よく「自分を好きになりましょう」と書いてある。
ずっと、あの言葉の意味がわからなかった。「自分を好きになれ」って、具体的に何をしろということなのか。
今はわかる気がする。
「自分を好きになる」というのは、自己肯定感を数値で上げることじゃなくて、「自分の時間を、あの人以外のことに使えるようになる」ことじゃないか、と。
夜中の1時にSNSを確認しなくていい夜。ファミマのサラダチキンを、ただの夕飯として食べられる夜。Netflixの再生ボタンを、罪悪感なしに押せる夜。家賃9.8万の1Kが、誰かへの感情で満たされるんじゃなくて、ただの「自分の場所」になっていく感覚。
それが「乗り越えた」ということなのかもしれない。
大げさな変化じゃなくていい。1つの夜が、少し軽くなるだけでいい。
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あなたが次に踏み出すとしたら
片思いを諦めることを、意志の力で決断する必要はない。
感情はコントロールできないから、「諦めよう」と思って諦められるものじゃない。
でも、一つだけ行動を変えることはできる。
「あの人以外の人と、向き合う時間を少しだけ作る」という行動を。
片思いに2年以上かけてきた実感があるなら、まず選択肢の多さで選ぶならPairs、相手との相性を診断ベースで確認したいならwith、どちらも無料登録から始められる。「本気で婚活」という段階じゃなくていい。ただ、スマホの中に彼以外の誰かの顔が増えるだけで、「この人しかいない」という認知は静かに薄れていく。
諦めることを目標にしなくていい。
次の夜を、少しだけ違う過ごし方にすること。それだけでいい。
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