夜11時、千葉の寝室でスマホを握った
夫がリビングのソファで眠りに落ちたのを確認してから、寝室に移動した。電気はつけない。スマホの画面だけを光らせて、検索窓に打ち込んだ。
「更年期 前兆 30代 早い」
恥ずかしかった。33歳で更年期なんて、自分でも馬鹿げていると思う。母が更年期で寝込んでいたのは51歳のときで、あの頃の母はもっとおばさんに見えた。自分はまだパートの帰りにユニクロのセールを漁れるし、先週は友達と横浜でランチもした。なのに、この半年の体の変化が、どうしても頭から離れない。
朝、目が覚めた瞬間から首の後ろが熱い。窓を開けても熱い。シャワーを浴びても、15分後にはもう首の後ろがじわっとしている。夕方4時ごろ、スーパーで夕食の食材を選んでいると、突然気力がゼロになる。レジに並びながら「なんでこんなに疲れているんだろう」と、本気で思った。生理は来るにはくるけれど、先月は25日周期だったのが今月は32日になった。去年の手帳を見返したら、ほぼ28日周期で規則的だったのに。
誰かに話そうと何度か思った。夫に言おうとして、やめた。「更年期かもしれない」という言葉を口にしたとき、夫がどんな顔をするか想像して、言えなかった。女として見てもらえなくなるんじゃないかという恐怖は、合理的ではないとわかっている。でも本物の感情だ。友達に話せば「早くない?」で終わる。母に言えば心配させる。だから夜中に一人でスマホで調べる。
「プレ更年期」という言葉が、初めて体に刺さった日
検索をしていてはじめて、「プレ更年期」という言葉を知った。
医学的な確定診断名ではないが、婦人科の現場では30代後半から女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が不安定になり始め、更年期に似た症状が出ることは広く知られている。閉経してから始まるのが更年期、という理解は平均の話であって、ホルモンの揺らぎ自体は30代前半から起きていることもある。
「更年期は50代の話」という思い込みが、多くの30代女性の受診を遅らせている。体に出ている症状が何年も「気のせい」で終わるのは、この思い込みが強すぎるからだ。
エストロゲンは20代後半をピークに、少しずつ変動し始める。卵巣の機能が徐々に変化していく過程の中で、ホルモンのバランスが崩れた時期に、自律神経が影響を受けやすくなる。その結果として、ほてり、疲労感、気分のアップダウン、睡眠の乱れ、生理周期の変化といった症状が出てくる。これは33歳でも起きうる。
「なんか変」を、箇条書きにしてみた
彼女はその夜、スマホのメモアプリに気になっていた症状を書き出した。書いてみると10項目あった。
全部当てはまる必要はない。ただ、これらの症状の多くは、エストロゲンの揺らぎが自律神経に影響するときに出やすいパターンと一致している。3つ以上当てはまっているなら、「気のせい」で終わらせない方がいい。自分の体を守れるのは、最終的には自分だけだ。
33歳で更年期は「早すぎる」、その常識を疑う
正直に言う。「30代の更年期なんておかしい」という空気は今でもある。婦人科の待合室で若い女性が座っていると、受付の顔が一瞬「え?」という表情になることがある、と複数の女性から聞いたことがある。
でも数字を見ると、話は変わってくる。
40歳未満で閉経する「早発閉経」は珍しいことではなく、その前段階として卵巣機能が低下し始める時期は、さらに10年以上早いケースもある。更年期の始まりを「閉経の前後5年間」と定義するなら、その手前のプロセスは30代から進行していることもある。
彼女の生活を思うと、体が変化しても不思議ではない要因がいくつもある。千葉の持ち家のローンを夫と折半するため、週4でパートに出ている。家事の8割は自分が担っている。夫が帰宅するのは夜10時すぎ。夜中に一人でスマホを触る時間が「自分の時間」になっていて、睡眠が6時間を切る日が週3回はある。そしてこの1年7ヶ月、夫とのスキンシップが途切れている。
ストレス、睡眠不足、慢性的な運動不足、孤独感——これらはすべて、ホルモンバランスに影響する要因として医療の現場でも認識されている。「30代で更年期はおかしい」ではなく、「30代の生活がホルモンに影響することがある」が、今の正しい理解だ。
数値として見れば、「なんか変」は「対処できる問題」になる
症状が続いているなら、まず婦人科に行く。それだけで状況は動く。
確認できる検査の中で、AMH検査(抗ミュラーホルモン検査)は卵巣に残っている卵胞の目安を数値化するもので、卵巣年齢を知る手がかりになる。更年期かどうかの直接的な判定ではないが、自分の卵巣の状態を客観的に知ることができる。
またFSH(卵胞刺激ホルモン)やエストラジオール(エストロゲンの一種)の血液検査で、現在のホルモンバランスの状態を確認することができる。「なんとなく体が変」という漠然とした感覚が、数値として見えた瞬間、人は具体的に動けるようになる。
「でも婦人科って行きにくい」という気持ちは、すごくわかる。待ち時間が読めない、何を言われるか怖い、自分の症状が大げさだと思われそう——そういう理由で受診を先延ばしにする人は多い。
だから近年、婦人科のオンライン診療を選ぶ人が増えている。スマホで予約して、ビデオ通話で医師に相談し、必要な検査キットや処方は郵送で届くという流れなら、千葉の家にいながら、夫に気づかれることなく動ける。クリニックフォアのオンライン婦人科では女性ホルモンに関する相談や検査が可能で、初診のハードルが下がったことで「症状が出てから2年以上放置していた」という状況は確実に減っている。自分の体を後回しにしてきた時間が、少しずつ取り戻せる。
エクオールを知ったのは、検索3日後
あの夜の検索から3日後、彼女はエクオールという成分を知った。
大豆に含まれるイソフラボンを腸内細菌が代謝してできる成分で、エストロゲンと似た構造を持ち、女性ホルモンの受容体に結合する働きがある。ほてりや気分の揺らぎ、睡眠の質への影響が注目されており、更年期・プレ更年期症状へのアプローチとして婦人科の現場でも言及されることが増えた。
重要な点が一つある。エクオールは大豆から直接摂れるわけではなく、腸内でイソフラボンを変換できる人とそうでない人がいる。日本人女性でエクオールをうまく産生できるのはおおよそ半数と言われており、残り半数は大豆を多く食べてもエクオールが作れない体質だ。産生能力の有無は検査キットで調べることができる。自分がどちらかを知らないままサプリだけ飲んでも、効果を感じにくい可能性がある。
エクオール含有サプリはいくつかのブランドから出ているが、選ぶ基準は明確にしておきたい。1日あたりのエクオール含有量が具体的に記載されていること、製造工程の品質管理が明示されていること、この2点を確認してから選ぶ方がいい。漠然と「大豆系のサプリ」を選ぶより、エクオールの含有量を明示しているものを選ぶ方が、目的に対して合理的だ。
ただし、エクオールサプリはあくまでも日常のフェムケアの補助だ。まず婦人科(オンライン診療でも構わない)で今の体の状態を数値として確認した上で、継続的なセルフケアの一つとして取り入れる。この順序が大切だ。
「誰にも言えない」ままにしておくコストは高い
彼女はまだ、夫に症状の話をしていない。
言えない理由は変わっていない。33歳で更年期という言葉を口にしたとき、夫がどんな顔をするかが怖いのだ。もう女として見てもらえなくなるんじゃないか。そういう恐怖は、言葉にすれば馬鹿げているとわかる。でも夜中に一人でスマホを開くたびに、その恐怖は確かにある。
一方で、体に出ている症状を放置した場合のコストは確実に積み上がっていく。睡眠の乱れが続けば、パートの仕事にも影響が出る。気分のアップダウンが激しくなれば、夫との関係はさらに遠くなる。「なんか変」という感覚を「気のせい」で片付けるたびに、自分の体への不信感が少しずつ積み重なっていく。
一人で動ける環境は、今すでにある。スマホと10分があれば、クリニックフォアなどのオンライン婦人科に予約を入れることができる。家の中でビデオ通話ができれば、誰にも気づかれずに医師に相談できる。エクオールのサプリは定期便で郵送されてくるから、ドラッグストアに行く必要もない。
もしあなたが、この半年で「なんか体が変」と感じていて、でも「33歳で更年期のはずがない」と自分に言い聞かせてきたなら、その言い訳を一度手放してほしい。体は正直だ。「早すぎる」という言葉は、あなたの体には関係がない。
婦人科オンライン診療でのホルモン検査と、エクオールを起点にしたフェムケアを、今この瞬間から始める価値は十分にある。夜中にスマホを握りしめながら一人で調べ続ける夜は、もう終わりにしていい。
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