夜11時。千葉の持ち家のリビングで、31歳の夫がソファに横になってスマホをスクロールしている。結婚6年目のこの光景が、いつから当たり前になったか、私にはもうわからない。
洗面台でスキンケアを終えて、ベッドに入った。電気を消した。隣の部屋から夫のスマホの明かりが細く漏れている。最後にふたりで触れ合ったのは、1年と7ヶ月前のことだ。
静かすぎる布団の中で、私は自分のことを自分で慰めた。
終わったあと、じわりと広がってきたのは——罪悪感だった。「夫がいるのに」という言葉が、暗闇の中で何度も浮かんだ。パート帰りにスーパーで買ってきた198円のアイスを冷凍庫に戻したことよりも、自分のしたことへの後ろめたさのほうが、ずっと長く胸に残った。
この罪悪感には、医学的な根拠がない。でも誰もそれを教えてくれなかった。この記事は、その話をする。
※この記事は医学的・一般的情報を提供するものであり、診断・治療を目的としません。症状が続く場合は医師・婦人科・かかりつけ医に相談してください。
セルフプレジャーとは、自分自身のデリケートゾーンを刺激し、性的充足やリラックスを得る行為の総称だ。医療・ウェルネス領域で使われる中立的な呼称で、WHO(世界保健機関)は2006年の「性的健康の定義」の中で、セルフプレジャーを含む性的表現を「人権のひとつ」として明確に位置づけている。
1年7ヶ月、触れ合いのない夜の数え方

日本性科学会の定義では、セックスレスとは「特別な事情のない状態で、1ヶ月以上性交渉がない状態」を指す。同学会の調査(2020年)によれば、日本の既婚カップルの約44%がこの状態にあると報告されている。
1年7ヶ月は、その定義を19ヶ月分、超えている。
私が異常なのではない。ただ、この19ヶ月という静寂が、少しずつ自分の体への感覚を遠ざけていったのは事実だ。パートから帰宅して夕食を作り、ふたりで食べて、テレビを見て、洗い物をして、それぞれスマホを見て、眠る。会話はある。ケンカもない。ただ、触れ合いがない。
そういう夜を繰り返すうちに、自分が「女として機能しているのかわからなくなる瞬間」が増えた。友達には絶対に言えない。母にも言えない。誰にも言えない。
だから夜11時の布団の中だけが、自分の体と向き合える唯一の時間になっていた。
「夫がいるのに」という思い込みの正体

罪悪感はどこから来るのか。
セルフプレジャーに対する否定的な感情は、文化的・宗教的な価値観と深く結びついていることが多い。特に日本では、「女性のセクシュアリティはパートナーとの関係の中にのみある」という無意識の前提が長らく存在してきた。学校教育でセルフプレジャーについて正確に教えることはほぼなく、多くの女性が「してはいけないこと」「恥ずかしいこと」として刷り込まれたまま大人になる。
「夫がいるのに」という感情は、実は夫への罪悪感ではなく、「女性は性に能動的であってはいけない」という古い価値観の残滓かもしれない。
罪悪感は、あなたの中から自然に生まれたものではない。誰かから植え付けられたものだ。
WHO が「性的健康」を人権と呼ぶ理由
WHO(世界保健機関)は、性的健康をこう定義している。
「性的健康とは、身体的・精神的・社会的な良好状態であり、単に疾病や障害がないことではない。性的健康のためには、セクシュアリティに関して、ポジティブで尊重を伴うアプローチが必要である」(WHO, *Defining sexual health*, 2006)
この定義の中に、セルフプレジャーは明確に含まれる。自分の体を知ること、自分のペースで性的充足を得ること——それはパートナーの有無に関係なく、個人の健康の一部だ。
研究では、セルフプレジャーはオキシトシン(幸福ホルモンとも呼ばれる)やエンドルフィンの分泌を促し、ストレス軽減・睡眠改善のサポートが期待できることが示唆されている(Levin, R. J., 2007, *Sexual and Relationship Therapy*)。パートナーとの性生活の代替ではなく、セルフケアの一環として捉えるのが、現代のウェルネス的アプローチだ。
〔この記事の要点:セルフプレジャーへの罪悪感は、文化的・社会的な刷り込みに由来することが多く、医学的・倫理的に根拠のある感情ではない。WHOは性的健康を基本的人権と位置づけており、セルフプレジャーはその一部だ。ストレス軽減や睡眠サポートの効果が研究で示唆されており、フェムテックの道具選びから始めるセルフケアとして無理なく取り入れられる。〕
夫がいる状態でのセルフプレジャーは「裏切り」になりますか?
結論:なりません。
法律的にも、倫理的にも、セルフプレジャーはパートナーへの不貞行為には当たらない。自分の体に触れることは誰かを裏切る行為ではなく、自分の内側の状態に向き合う行為だ。
むしろ、パートナーとの性生活が長く止まっている状況でセルフプレジャーを「してはいけない」と抑制し続けることは、慢性的なストレスや疎外感の蓄積につながる可能性がある、と性科学の専門家は指摘している。セルフプレジャーによって自分の体や欲求への感覚を保つことは、将来的なふたりの関係回復にも繋がりうるとも言われている。
罪悪感の声に、「なぜ?」と一度だけ聞いてみる
罪悪感を感じるのは、あなたが誠実だからだ。それ自体を否定する必要はない。
ただ、その罪悪感の声に「なぜ?」と一度だけ問い返してほしい。
「夫への罪悪感? でも夫は何もしていない。私が自分の体に触れることを制限する権利は、夫にも、誰にもない。」
33歳、千葉のパート。夕食は毎晩ふたりで食べる。会話はある。ただ、触れ合いがない。そういう生活の中で、夜11時から15分間、自分のために使うことが「悪いこと」だとしたら——それは誰が決めたルールなのか。
頻度に「正しい回数」はありますか?
結論:ありません。
医学的に「週◯回が正常」という定義は存在しない。自分が望む頻度で、体に無理のない範囲で行うことが一般的に推奨されている考え方だ。日常生活に支障をきたしたり、強迫的な衝動として感じられる場合は、医師やカウンセラーへの相談が選択肢になる。
大切なのは、「したい」と感じる自分の体の声を、恥や罪悪感でかき消さないことだ。
友達にも母にも言えないなら、道具を選ぶところから
セルフプレジャーについて誰にも話せないと感じている人は、実は多い。特に既婚女性は「こんなこと、誰に言えばいいかわからない」という孤立感の中にいることが多い。
だからこそ、道具から入るのは合理的な一歩だ。
[PRODUCT_LINK:iroha](iroha / TENGA)は、女性の身体とセルフケアのために設計された国内フェムテックブランドだ。パッケージや見た目が「大人向けグッズ」という印象を持たせないインテリアに馴染む美しいデザインで作られており、使い方の説明も丁寧なのが特徴。はじめてセルフプレジャーに向き合う女性が安心して始められる入口として、多くのウェルネス系メディアで取り上げられている。デザイン・素材・説明の三点が揃っている点が、irohaが選ばれ続ける理由だ。
もう一つ紹介したいのが、[PRODUCT_LINK:LCラブコスメ]だ。フェムゾーンケアに特化した国内ブランドで、セルフプレジャー用のジェルやケアアイテムが充実している。「体に優しい成分かどうか」を重視する女性に向けた商品説明が丁寧で、フェムゾーンのことを正しく知りたい人にとっても有益なコンテンツが揃っている。はじめて試すなら、ジェルタイプのアイテムから入ると体への馴染みがよく、使いやすいと報告されることが多い。
夫に知られることへの恐怖は、どうすればいいですか?
セルフプレジャーは個人の行為であり、パートナーへの開示義務はない。これはプライバシーの問題だ。
ただし、もしパートナーとの関係回復を望んでいるなら、性生活の停滞についてふたりで話す機会を持つことが、根本的な問いへの向き合い方かもしれない。婦人科のオンライン診療や、性カウンセリングを入口にするカップルも、2026年現在では増えている。セルフプレジャーは、そのための対話を始めるエネルギーを保つ手段になりうる、という考え方もある。
19ヶ月後の、ひとつの答え
夫との19ヶ月は、まだ終わっていない。解決もしていない。
ただ私は、自分の体を自分でケアすることの意味を、少しだけ取り戻した気がしている。誰かに許可をもらわなくていい。夫が知る必要もない。これは私の体の話だから。
もし、パートナーとの親密な時間が長く止まっている状況でセルフプレジャーへの罪悪感を感じているなら——その罪悪感の正体は、あなたが悪いということではない。
選択肢はある。
iroha や LCラブコスメ のような信頼できるフェムテックブランドから始めて、自分の体を自分でケアする一歩を踏み出すこと。あるいは、婦人科のオンライン診療や性カウンセリングを通じて、パートナーとの関係の停滞に正面から向き合うこと。
どちらが正解かは、あなただけが知っている。ただ、どちらの一歩も、罪悪感を持つ必要はない。
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参考資料・引用元


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