23時47分、電気を消すとそれが始まる

スマホを伏せて、電気のスイッチを押す。天井が暗くなった瞬間から、ほぼ正確に3分間、泣く。
なんで泣いてるのか、本当にわからない。失恋したわけじゃない。誰かに怒鳴られたわけでもない。今日の仕事はなんとか終わったし、22時すぎに最寄り駅のファミリーマートで買った198円のおにぎりも、ちゃんとおいしかった。なのに泣く。
大阪・本町の広告代理店に入って2年目。毎朝8時45分に家賃7万2千円のワンルームを出て、深夜ひとつ前の電車で帰る生活。部屋に着くのが23時半すぎ。それが2026年の2月から続いている。
— 「毎日しんどい」とは、特定のできごとがなくても、日常生活の中で慢性的な疲労感・感情の不安定さ・やる気の低下が続く状態を指す。これは性格の弱さではなく、多くの場合、心身の調節機能に負荷がかかっているサインだ。
※この記事は医学的・一般的情報を提供するものであり、診断・治療を目的としません。症状が続く場合は医師・婦人科・かかりつけ医に相談してください。
理由のわからない涙は、あなたがおかしいんじゃない

「なんで泣いてるの」と自分に問いかけても、答えが出てこない。それが続くと、今度は「こんなことで泣いてる自分が情けない」という二重の消耗が始まる。自分を責めることで、さらにエネルギーが漏れていく。
これは弱さの問題じゃない。
人間の脳は、慢性的なストレス——仕事量・睡眠不足・人間関係の緊張——にさらされると、感情調節にかかわる前頭前野の機能が低下する。大脳辺縁系の反応が高まり、小さな刺激でも感情が揺れやすくなる。「特に何もないのに涙が出る」のは、脳がすでに許容範囲の上限に近いというサインだ。
今年の3月、同期の田中さんが退職した。別に仲が良かったわけじゃない。でもあの日から、スマホのSafariで転職サイトのページを開いては、右上の×を押す日が続いている。辞めたいわけじゃない。でも居続けるためのエネルギーが、どこかから少しずつ漏れている——そんな感覚だけが残っている。
生理前の1週間が、特にしんどくなる理由
毎月、生理前の7〜10日間だけ、しんどさが倍になる。有給がどんどん減るのもこの時期だ。今年に入って使った有給5日は、全部この時期に集中している。
これはPMS(月経前症候群)の可能性が高い。
日本産科婦人科学会の診療ガイドラインによれば、PMSは月経前3〜7日間に繰り返す身体的・精神的症状を指す。涙もろくなる、無気力になる、些細なことでイライラする——これらはすべてPMSの症状として医学的に認められており、日本人女性の多くが何らかのPMS症状を経験しているとされている。
問題は、PMSが「気のせい」で片付けられやすいことだ。「生理前だから仕方ない」という言葉は一見やさしく聞こえるが、その言葉の裏には「我慢しろ」という意味が隠れている。毎月1週間、年間で換算すると3ヶ月近くをしんどい状態で過ごしているなら、それは「仕方ない」で流せる話じゃない。
Q「生理前だけじゃなく、ずっとしんどい気がする。PMSとどう違うの?」
PMSが主因なら、生理が始まると症状が和らぐという波が見られる。しかし生理後も慢性的なしんどさが続くなら、PMS以外の要因——睡眠負債・鉄欠乏性貧血・自律神経の乱れ・抑うつ傾向——が重なっている可能性がある。
まず「生理周期と連動しているかどうか」を1〜2ヶ月記録してみることが、自分の状態を把握する最初のステップになる。月経管理アプリで気分と症状を記録しておくと、のちに婦人科で相談するときにも役立つ。
有給が消えていく感覚
「なんとなくしんどい」に保険証は使いにくい、という感覚はわかる。でも今年5日の有給を体調不良で使いながら、一度も病院に行っていないのは、自分への過小評価かもしれない。
消耗した状態が続くと、判断力が落ちる。アメリカ心理学会(APA)の研究でも、慢性ストレスが前頭前野の機能を低下させ、意思決定の質を下げると報告されている。転職を考えるエネルギーも残らない、でも今の環境に居続けるのもしんどい——この詰まった感じは、消耗した脳が作り出している「出口なし感覚」だ。現実の選択肢の問題ではなく、認知の問題であることが多い。
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ここで一度、整理する。「毎日しんどい」の背景には、多くの場合、①慢性的な疲労・ストレスによる感情調節の乱れ、②PMSや女性ホルモンの波による影響、③誰にも話せない孤独感の蓄積、この3つが重なっている。一つだけを解消しようとするより、それぞれに対して小さな介入を入れていくほうが、回復の速度が上がる。
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Q「転職サイトを開いては閉じてる。これって逃げてるだけ?」
逃げかどうかより、今の消耗を放置するコストを考えてほしい。消耗状態では判断力が下がり、その状態で転職を判断しても後悔しやすい選択になりやすい。まず消耗を少し減らしてから動く——その順番が、結果として良い選択につながりやすい。「逃げたいから転職を考えてる」より「自分を整えてから次を選ぶ」という枠組みで考えてみると、転職サイトを開く目的が変わってくる。
まず一つだけ変えるとしたら
体力を整えるとか、早く寝るとか、そういう話を期待していたなら申し訳ない。22時すぎに帰宅して「早く寝ましょう」は現実的じゃないし、「ヨガを始めましょう」もハードルが高すぎる。
一つだけ試してほしいことがある。週1回、誰かに話す場所を作ること。
[PRODUCT_LINK:Unlace]は、テキスト・ビデオ・音声から自分に合う形式を選べるオンラインカウンセリングサービスだ。対面のクリニックと違い、予約は当日〜翌日に取れることが多く、23時すぎにワンルームのソファからスマホ一台でセッションに入れる。「話を聞いてもらうだけでいい」「アドバイスより共感がほしい」という使い方でもいい。カウンセリングは重症者が行く場所じゃない。頭の中でぐるぐるしているものを、週1回だけ外に出す場所として使う——それだけで十分だ。
会わないから、弱みを見せても翌朝の通勤電車で目が合うことはない。友人でも家族でもないから、心配させすぎることもない。話す相手として、ちょうどいい距離感にある。
Q「カウンセリングって、何回行けば変わるの?」
個人差があるため断言はできないが、認知行動療法に関する研究では、8〜12セッションで有意な症状改善が見られるケースが多いと報告されている。ただし「変わる」のゴールを「泣かなくなること」に置くと、焦りが出やすい。「しんどいときにどう対処するか、少しわかってきた」という感覚が出始めるのが、多くの場合4〜6セッション前後とされている。結論よりプロセスに目を向けると、続けやすい。
PMSのしんどさに、もう少し具体的な手を打つなら
カウンセリングが感情の側面をケアするなら、PMSの身体的なしんどさには別のアプローチが有効だ。
生理前に毎回ひどくなるなら、婦人科でPMSの診断を受け、低用量ピルや漢方処方を検討する選択肢がある。日常的なセルフケアとして、チェストベリー(西洋ニンジンボク)やビタミンB6・マグネシウムを含む成分が、PMS症状のサポートに役立つ可能性があると言われている(ただし効果には個人差があり、医薬品ではない)。
[PRODUCT_LINK:チェストベリーPMSサプリ]を継続的なセルフケアの一環として取り入れる選択肢がある。生理前の1週間を「仕方ない期間」として消耗するより、セルフケアで少し整える選択をしてほしい。ただし症状が重い場合や日常生活への支障が大きい場合は、自己判断より婦人科への相談を優先してください。
Q「病院行くほどじゃない気がするけど、受診すべきラインってある?」
以下のうち一つでも当てはまるなら、婦人科か心療内科への相談を検討してほしい。
「大げさかな」と思う必要はない。婦人科はPMSで受診する場所だし、心療内科は心が壊れた人が行く場所ではなく、消耗が限界になる前に調整する場所だ。
23時47分の涙が、あなたへのメッセージだとしたら
電気を消すと3分泣く。理由はわからない。でもその涙は、体が出している信号だ——「もう少し、自分を整える時間を作ってくれ」という。
その信号を無視してどこまでいけるか、2ヶ月以上試してきたはずだ。それでも今、毎日しんどい状態が続いている。
まず一つだけ変えるとしたら、週1回、誰かに話す場所を作ること。[PRODUCT_LINK:Unlace]は初回相談を無料で試せるプランもある。夜、一人で抱えてきた3分間の一部を、そこに渡してみてほしい。
23時47分の天井が、少し違って見えるかもしれない。
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参考資料


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