大阪本町、午前1時15分
本町の駅から徒歩7分、家賃7万2千円のワンルーム。
電気を消すと、涙が出る。
理由がわからない。悲しいわけじゃない。怒っているわけでもない。ただ、部屋が暗くなった瞬間に、目の端から涙が伝う。3分くらいで止まる。止まったら、スマホを開く。ツイッターを流して、気がつくと深夜2時になっている。
2026年2月から、もう60日以上続いている。
翌朝は6時に起きて、御堂筋線に乗って、本町のオフィスに着いたら14案件のSlackに「確認します」と返す。社会人2年目の広告代理店の仕事は、やりがいなのか消耗なのか、今は正直よくわからない。同期が1人辞めた。転職サイトを開いては閉じる日々が続いている。
「ちゃんと寝てる?」と聞かれることがある。7時間は横になっているのに、「ぐっすり眠れた」という感覚がない。スマホの睡眠アプリは「深い睡眠 1時間8分」と記録している。それが良いのか悪いのかも、もうわからない。生理前の1週間は涙が止まらなくて、有給がどんどん減っていく。
「規則正しい生活」が、全然効かなかった理由
3月に一度、本気でやってみた。
寝る前スマホをやめた。22時にお風呂に入った。23時には布団に入った。ホットミルクも飲んだ。
眠れなかった。
ベッドに入ってから1時間45分、天井を見ていた。午前0時50分に諦めてスマホを開いた。翌朝、アプリには「深い睡眠 43分」と出ていた。むしろ悪化していた。
「睡眠の質を上げるには、規則正しい生活を」というアドバイスをネットで何十回読んだかわからない。できないんじゃない。やっても、効かないんだ。
ここで断言する。
睡眠の質が上がらない本当の理由が「スマホ」「夜更かし」「ストレス管理不足」だと思っている女性は、問題の根っこを見落としている。女性の睡眠を根底から壊しているのは、ホルモンサイクルだ。
これは「気の持ちよう」じゃない。スマホをやめれば解決する問題でもない。体の設計の問題だ。
眠れない夜の正体は、プロゲステロンだった
女性の体は、毎月エストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンが波を描いている。排卵後から生理前の「黄体期」に入ると、プロゲステロンが急上昇する。
プロゲステロンには「体温を上げる」作用がある。
人間の睡眠は「体の深部体温が下がるタイミング」に深くなる。入眠前に体温が自然に低下するから、眠気が来る。ところが黄体期には体温が上がり続けるため、体温が下がりにくくなる。眠気が来ない。眠れない。眠りが浅い。朝起きても疲れが取れない——これが「黄体期の睡眠」の正体だ。
さらに、黄体期にはセロトニン(幸福感・安心感に関わる神経伝達物質)が低下しやすい。セロトニンは夜になるとメラトニン(睡眠ホルモン)に変換される。つまりセロトニンが足りないと、メラトニンが十分作れない。眠れない夜と、理由のわからない涙が、同じ時期に重なるのは偶然じゃない。
毎晩電気を消した瞬間に涙が出る感覚も、生理前の1週間に涙が止まらなくなる感覚も、「メンタルが弱い」のではなく「セロトニンが化学的に落ちている」状態だ。自分を責める前に、体のサイクルを疑ってほしい。
毎月10日間、体に何が起きているのか
生理予定日の10〜14日前から始まる黄体期。この期間に起きることを、並べる。
基礎体温が0.3〜0.5度上昇する。入眠までの時間が長くなる。深い眠り(ノンレム睡眠)が減る。朝に疲れが取れない感覚が増す。セロトニン低下によって、理由のわからない涙、些細なことへの過敏、集中力の低下が起きやすくなる。
これが毎月繰り返される。
広告代理店の仕事は、締め切りがある。クライアントからのフィードバックがある。深夜にSlackが鳴る。そういう環境のストレスは、コルチゾール(ストレスホルモン)を上昇させる。コルチゾールが高い状態が続くと、プロゲステロンの合成が阻害される——つまり、仕事のストレスがホルモンバランスの乱れを増幅させ、睡眠の質をさらに悪化させるという悪循環が完成する。
転職サイトを開いては閉じる、という日々の中にある「なんとなくの焦燥感」も、このループの一部かもしれない。
「何をするか」より「いつするか」
ここが核心だ。
睡眠改善のアドバイスの多くは「毎日同じルーティンで」と言う。でも女性の体は、月経周期でホルモンが大きく変化する。同じルーティンを「全サイクルに一律に当てはめる」こと自体が、間違っている。
生理周期を記録するアプリ(ルナルナでも、Clueでも)を使って、自分の「眠れない日」「涙が出る日」「疲れが抜けない日」が何日周期のいつに集中しているかを把握することが、最初の一手だ。1〜2サイクル記録するだけで、パターンが見えてくる。
パターンが見えたら、黄体期に絞って対策を集中させる。
深部体温を意図的に下げる: お風呂は就寝90分前、38〜40度のぬるめで15〜20分。上がった体温が下がるタイミングで眠気が来る。黄体期の「体温が下がりにくい」という問題への直接アプローチになる。
セロトニンの原料を黄体期に補う: L-トリプトファン(セロトニンの前駆体)が豊富な豆腐、納豆、バナナ、鶏むね肉を、生理前10日間に意識して夕食に摂る。セロトニンが足りなければメラトニンが作れない——この経路を食事で支える。
カフェインを黄体期だけ削る: 普段コーヒーを飲んでも眠れる人でも、黄体期はカフェインの分解が遅くなりやすい。生理前1週間だけ、夕方以降のコーヒーをやめてみる。
加味逍遙散と、エクオール——試す前に知っておくこと
生活習慣の調整だけでは追いつかないときに、選択肢として出てくるのが漢方とサプリメントだ。
婦人科でよく処方される漢方の一つが加味逍遙散(かみしょうようさん)だ。ホルモンバランスの乱れに伴うイライラ・不眠・肩こり・疲労感に対して用いられる。クラシエやツムラから市販品も出ていて、ドラッグストアで手に入る。生理前の不調が毎月繰り返されているなら、まず1サイクル試してみる価値はある。ただし、体質によって合う・合わないがある漢方なので、「飲み始めて2週間で変化がなければ婦人科で相談する」を前提に使ってほしい。
もう一つ注目されているのがエクオールだ。大豆イソフラボンが腸内細菌によって変換されてできる成分で、エストロゲンに似た働きをすると言われている。更年期の話題で出てくることが多いが、ストレス過多や不規則な食生活でエストロゲンが低下しがちな20代にも、補う意味がある場合がある。「エクエル」という商品名でも市販されており、継続的に摂取することで黄体期の不調が緩和されるケースがある。
一点だけ正直に言う。加味逍遙散もエクオールも「万能薬」ではない。特に、毎月の睡眠障害や涙が生活に支障をきたしているレベルなら、まず婦人科で自分の状態を把握することを先に考えてほしい。「クリニックフォア」や「スマルナ」のようなオンライン診療なら、スマホひとつで婦人科相談ができ、PMSの診断やピル・漢方の処方も受けられる。本町のオフィスのお昼休みに、ラインのメッセージを送る感覚で予約できる。
「眠れない夜」と「泣ける夜」は、同じ原因だった
今夜も本町のワンルームで電気を消したとき、涙が出るかもしれない。
それは「弱さ」じゃない。黄体期のセロトニン低下が引き起こしている、化学的な状態だ。60日以上続いているとしたら、それはホルモンサイクルの問題を、誰も正確に教えてくれなかっただけだ。
睡眠アプリが「深い睡眠 43分」と記録している夜も、有給が減っていく生理前の1週間も、全部つながっている。ホルモンサイクルを軸に置かないと、どれだけ「規則正しい生活」をやっても、根本には届かない。
生理周期を記録して、自分の「黄体期」を特定することから始めてほしい。黄体期の対策(体温・食事・カフェイン)を1サイクル試してみる。それでも改善しないなら、オンライン診療で婦人科に相談し、加味逍遙散やエクオールの活用を専門家と一緒に考える。
この順番で動けば、「眠れない夜」と「泣ける夜」の両方に、少しずつ答えが出てくる可能性がある。
もしあなたが「生理前になると眠れない・涙が止まらない・朝に疲れが抜けない」という状態が毎月続いているなら、オンライン婦人科への相談を一番最初の選択肢として検討してみてほしい。市販品を試す前に、自分のホルモン状態を把握することが、この問題の一番の近道だから。
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