2月の、確か14日の夜だった。本町のワンルーム(家賃7.2万)で電気を消した瞬間に、また泣いた。
バレンタインだったからとか、誰かを思い出したからとか、そういう理由じゃなかった。理由なんてなかった。ただ暗くなった天井を3分くらい見上げて、静かに泣いた。それから眠れなくて、スマホで「自己肯定感 高める 方法」と打った。
出てきたのは、全部知っている話だった。
ポジティブ日記をつけよう。自分を褒めよう。感謝できることを3つ書こう。SNSを断ってみよう。お気に入りのカフェで自分時間を作ろう。
全部やった。全部続かなかった。
それから私は、「自己肯定感を高めようとすること自体が間違っていたのかもしれない」という結論に、ゆっくり辿り着いた。
24歳、社会人2年目。大阪市内の広告代理店に新卒で入って、本町のワンルームで一人暮らしをしている。通勤は地下鉄で2駅、乗り換えなしだから体力的には恵まれている。なのに月曜の朝、御堂筋線のホームに立つたびに足が重くなる。
今年の2月、同期の山田さん(便宜上こう呼ぶ)がある日突然来なくなった。Slackが2日既読にならなくなって、上司から「体調不良で退職した」とだけ聞いた。それから私も、夜になると転職サイトを開くようになった。doda、リクナビNEXT。でも何も登録しないまま閉じる。「今じゃない」「逃げてるだけかも」「もう少し頑張れる」。そうやって閉じる。
生理前の1週間は特にきつくて、今年に入ってすでに有給を11日消費している。
そんな状態の私が「自己肯定感を高めよう」と思っても、高まらなかった。なぜか、3月にやっとわかった。
「自己肯定感を高める」に騙されていた
Instagramで流れてくる自己肯定感の記事には、前提がある。
「今、自分にそれなりのリソースがある人向け」という前提だ。
朝のルーティンを整える、感謝日記をつける、自分に優しい言葉をかける。これは全部、「実行する気力が残っている人」にしか機能しない。
電気を消した瞬間に泣く人間には、機能しない。生理前の1週間で有給を使い切る人間には、機能しない。
それどころか、「またできなかった」という事実が、逆に自己肯定感を下げる。ノートの白紙が、続かなかった証拠になる。朝のルーティンを飛ばした日の罪悪感が、夜の泣き時間を少し長くする。
これは意志が弱いんじゃない。順番を間違えている。
「自己肯定感を高めよう」と思っているときに本当に必要なのは、マインドセットを変えることじゃなくて、泣く原因を減らすことだった。体が先。メンタルは後。この順番を知ってから、私の2026年は少しだけ変わった。
体の話を先にする、という順番
去年の秋、婦人科に行った。
「気持ちの問題じゃないかもしれない」と先生に言われた。検査を受けて、PMSの診断が出た。黄体ホルモンのバランスが乱れやすい体質で、生理前の情緒不安定は「性格」じゃなくて「生理的な現象」だったと知った。
処方された低用量ピルを飲み始めて2周期後、生理前の泣き時間が体感7割くらい減った。
これが一番大きかった。
ホルモンバランスが崩れているとき、脳は自動的にネガティブに引っ張られる。これを「心が弱い」「自己肯定感が低い」と解釈して、ポジティブ思考で上書きしようとしても意味がない。火事のときに気合いで消そうとするようなものだ。水が先だ。
婦人科に行くのが難しい人——予約を入れる時間も気力もない、という人——には、「あんしん漢方」が現実的な入口になると思う。PMSや生理トラブルに特化したオンライン漢方サービスで、問診からAIによる処方提案、薬剤師との相談まで全部スマホで完結する。仕事の昼休みに10分あれば始められる。体の話は、検索の海を泳ぐより、専門家との対話から始めたほうが圧倒的に早い。
自己肯定感を高めたいなら、まず体に原因がないか確かめること。それが2026年の私が最初に言いたいことだ。
電気をつけたまま寝ることにした
3月の中旬、なんの根拠もない決断をした。
電気を消したら泣くとわかっていたから、電気をつけたまま寝た。6畳のワンルーム、デスクの横にある8,000円のLEDライトが白く光ったまま、布団に入った。
泣かなかった。
「なんだそれ」と思うかもしれない。でもこれが、私が最初に変えた唯一のことだった。
「自己肯定感を高める」とか「自分を変える」じゃなくて、「今夜泣かないための仕組みを1個作る」という考え方に切り替えた。大げさなことはしない。続かないから。今夜だけ、1個だけ、機能することをやる。
Instagramの「朝の5分ルーティン」でも「感謝日記」でもない。電気をつけたまま寝るという、誰にも褒められない小さな工夫だった。でもそれが、私のセルフケアの出発点になった。
「できた」という事実が、その夜の私を少し肯定した。
転職サイトを「開いては閉じる」の本当の意味
4月に入って、オンラインコーチングのセッションを単発で1回受けた。
転職サイトを週3回開いては閉じている話をした。コーチは「その行動、何を意味すると思いますか」と聞いた。
「……逃げたいけど、逃げる勇気もない、ということだと思います」
「逃げたい、という感情の前に、何がありましたか」
30秒くらい考えた。
「今の仕事が自分に合っているかわからないという、不安」
「その不安が生まれたのはいつですか」
山田さんが来なくなった日だ、とわかった。
転職サイトを開いていたのは「辞めたいから」じゃなかった。「このまま消えてしまうことへの恐怖から、何かしているように見せる行為」だった。コーチはそれを、20分の対話で言語化してくれた。
私が使ったのは「cotree」というオンラインのカウンセリング・コーチングプラットフォームだ。カウンセリングとコーチングの両方があって、自分でプロフィールを読んでセラピストやコーチを選べる。「合わない人と話す羽目になる」という不安が少ないのがいい。初回は単発で申し込んで、1セッション7,000円だった。
安くはない。でも、転職エージェントに行って「まず求人をみてみましょう」と言われるよりも、自分のことが100倍具体的にわかった。
コーチングは「アドバイスをもらう場所」じゃない。「自分がすでに気づいていることを、言葉に引き出してもらう場所」だ。転職するかどうかの判断より前に、「なぜ転職サイトを開いていたのか」がわかる。その順番が大事だと思う。
セルフケアは習慣じゃなくて、今夜の判断
5月現在、私が続けていることを正直に書く。
電気をつけたまま寝る:今でも週3日くらいやっている。婦人科で処方されたピル:継続中。転職サイトを開くのは月1回だけのルール:だいたい守れている。cotreeのセッション:2ヶ月に1回(月1回は予算的に厳しかった)。
「毎朝5分の瞑想」も「感謝日記」も、続いていない。
でも、電気を消した瞬間に泣く回数は減った。有給の消費ペースが落ちた。月曜の御堂筋線のホームに立つ足が、少しだけ軽くなった気がする。
気がする、だけかもしれない。でもそれでいい。
自己肯定感を「高めよう」とするのをやめた。代わりに「今夜崩れないことを選ぶ」ようになった。
習慣は、「やらなかった日に罪悪感を持つ仕組み」になりやすい。感謝日記をつけ忘れた夜、「また続かなかった」という事実が追い打ちをかける。セルフケアを習慣として管理しようとすること自体が、崩れやすい状態の人間には逆効果だ。
習慣じゃなくて、今夜の判断。「今夜だけ、電気をつけたまま寝る」「今月だけ、あんしん漢方に問診を送る」「今日だけ、cotreeでコーチを探してみる」。それでいい。
山田さんが消えた日から変わったこと
山田さんが来なくなった日、最初は「残された自分が頑張らないといけない」と思っていた。
今は違う。「山田さんは、正しかったのかもしれない」と思っている。
辞めることが正解かどうかじゃなくて、「選択肢が自分の手にある」という感覚を持っていたかどうかの話だ。山田さんは、追い詰められながらも、自分で選んだ。私はまだ、転職サイトを開いては閉じている。でも以前と違うのは、「いつでも選べる」という感覚が少し戻ってきたことだ。
これが、自己肯定感の正体だと思っている。
「高い・低い」で語るものじゃなくて、「今夜も判断できた」という事実の積み重ね。電気をつけたまま寝ることを選んだ夜も、cotreeのセッションを予約した夜も、あんしん漢方に問診を送信した夜も、全部「判断できた夜」だ。
自己肯定感は、高めるものじゃなくて、積み重ねるものだった。
生理前に崩れるなら、体から始めろ
最後に、率直に書く。
毎月決まった時期にきつくなるなら、それはマインドセットの問題じゃない可能性が高い。まず体の話を先にしてほしい。婦人科の受診でもいいし、「あんしん漢方」のようなオンラインサービスから入るのでもいい。PMSの診断が出ることで、「心が弱い」という誤解から解放される。それだけで、泣く夜が7割減ることがある。私がそうだったから。
思考の整理が必要なら、「cotree」で単発1回のコーチングセッションを試してほしい。「アドバイスをもらう」じゃなくて「自分の言葉を引き出してもらう」体験は、どんな自己啓発本よりも自分のことがわかる。転職サイトを開いては閉じる夜が続いているなら、なおさら。
そして今夜、崩れそうなら、電気をつけたまま寝てもいい。
自己肯定感を高めようとしなくていい。今夜の判断を1個だけすればいい。それを積み重ねることが、「自己肯定感が高い状態」の本当の意味だと、2026年の私は思っている。
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