「高めよう」という言葉が、息を詰まらせる
2月の水曜日、午前0時12分。
大阪本町のワンルーム、家賃7.2万円の部屋の電気を消したあと、また泣いた。
理由はわからない。3分くらい経つと、止まる。2月からずっと、毎晩そうだ。
翌朝、通勤前にスマホを開くとインスタのタイムラインに「自己肯定感を高める10の方法」という記事が流れてきた。3行読んで、閉じた。
「自分を褒める習慣をつけよう」
「完璧を求めすぎないようにしよう」
「ありのままの自分を受け入れよう」
全部わかってる。でも、できない。
できないから泣いてるんじゃないか、と思った。
その瞬間、少し腹が立った。「自己肯定感を高めよう」という言葉そのものに。
そもそも「自己肯定感は上げるもの」という前提が嘘だ
はっきり言う。
「自己肯定感を高めよう」という言葉は、9割の場合、役に立たない。
なぜなら、自己肯定感とは「努力して上げるもの」ではなく、「下がっている原因を取り除けば自然に戻るもの」だからだ。
骨折した脚に「走れ」と言うのと同じ構造がある。問題は走る気力ではなく、折れた骨だ。
今のあなたの問題は「自分を褒める技術が足りないこと」ではない。
体と脳が、じわじわと削れていること、だ。
広告代理店に新卒で入り、社会人2年目。今年2月、一緒に頑張ってきた同期が一人辞めた。送別会のあの夜から、何かが変わった気がする。転職サイトを開いては、閉じる。開いては、閉じる。大阪・本町のオフィスから帰ってワンルームに着くと、やることがないまま午前1時になっている。
生理前の1週間は、特にひどい。涙が止まらなくて、有給が毎月1〜2日ずつ消えていく。今年に入ってから有給の残日数を確認するのが怖くなった。
これは意志が弱いわけでも、メンタルが脆いわけでもない。
体が出しているSOSだ。
毎月の「あの1週間」は、気合いで乗り越えるものじゃない
「生理前になると感情のコントロールができなくなる」
これをずっと「自分が弱いからだ」と思っていないか?
違う。これはPMS(月経前症候群)の典型症状の一つで、プロゲステロンとエストロゲンの変動が脳内のセロトニン分泌に直接影響する、生理的な現象だ。意志や気合いでどうにかなるものではない。
女性の体は月に一度、ホルモンの嵐が来る。その嵐の中でいくら「ポジティブに考えよう」としても、脳の化学的な状態がそれを許さない。嵐の中でテントを張ろうとするようなものだ。
だから、マインドセットより先に、体の土台を整えることが必要だ。
PMSへの対処としてまず試す価値があるのが、漢方だ。加味逍遙散(かみしょうようさん)は、イライラ・抑うつ・疲労感を伴うPMSに対して婦人科でも頻繁に処方される漢方薬で、ツムラ漢方の市販製品としても入手できる。生理前の2週間だけ飲み始めるだけで、「泣き崩れる1週間」が「少し重い1週間」に変わるケースは少なくない。劇的な変化ではなく、「嵐の強さが3割減る」くらいのイメージで続けてみることが重要だ。
また、エクオール(大豆イソフラボンが腸内細菌によって変換される成分)を含む「エクエル」は、ホルモンバランスの安定を補助するとして注目されており、生理前だけでなく日常的なメンタルの底上げとして活用されている。PMSサプリは「飲んですぐ劇的に変わる」ものではなく、3ヶ月単位で体の反応を観察するものだ。焦らず、まず3ヶ月を目安に試すことをすすめる。
思考のリフレーミングの前に、体の化学反応を整える。これが正しい順番だ。
「ポジティブ思考」は、体力のある人への処方だ
世の中の「自己肯定感を高める」コンテンツのほぼ全部が、思考の書き換えを教える。
「ネガティブな言葉をポジティブに変換しよう」
「感謝できることを毎晩3つ書こう」
「自分を好きになる宣言を毎朝鏡に向かって言おう」
これが機能するのは、基礎体力がある状態でさらに上を目指す人に対してだ。
毎晩3分泣いていて、生理前に有給が消えていて、転職サイトを開いては閉じている状態の人間に感謝日記を書けというのは、的外れを超えて有害になりうる。「こんなこともできない自分は本当にダメだ」という結論に到達するだけだ。
そして、その「できなかった」という事実がさらに自己肯定感を削る。削られた状態でまた「高めよう」とするから、もっと削れる。これは悪循環ではなく、最初から間違った方向に走っているだけだ。
だから逆のことを言う。
今すぐ「自己肯定感を高めよう」とするのをやめろ。
まず、これ以上削れないように守れ。
「誰かに話す」が怖い人こそ、話す相手を選べる場所がある
社会人2年目という立場には、特有の孤立がある。
会社の先輩には弱みを見せたくない。同期には心配させたくないし、辞めた子のことを思うと連絡しにくい。親に電話しても「頑張れ」か「もう辞めれば」のどちらかしか返ってこない。友人には「また愚痴か」と思われたくないから、話す前に自己規制する。
この状況で「誰かに話す」という標準的な処方も、現実的に機能しない。
使えるのが、オンラインカウンセリングだ。
「cotree(コトリー)」はテキストでやりとりができ、顔出しなしで使える。1回50分、自分のスケジュールで予約でき、専門のカウンセラーが守秘義務のもとで対応する。話す相手を自分で選べる、というのがこのサービスの最大の利点だ。
「カウンセリングは重症者が行くもの」という誤解が根強いが、実際は「重症になる前に使うもの」として機能する。毎晩泣いていて、有給が減っていて、でも誰にも言えていない状態こそ、cotreeが最もフィットするユースケースだ。
一度話すと、「自己肯定感を高めよう」という言葉が少し違う意味を持つようになる。誰かに聞いてもらったあとで初めて、「じゃあ次、何をしよう」という気持ちが生まれる。それが本当の意味での「高める」の入口だ。
話すことは、弱さではない。ルートを正しく選ぶことだ。
「自己肯定感が低い」は、正直な反応だ
ここでもう一枚、逆張りを重ねる。
「自己肯定感が低い」のはあなたのせいじゃない、という話は聞き飽きたかもしれない。そうじゃなくて、こう言いたい。
自己肯定感は、正直に低くなっていい。
自己肯定感というのは、「現状の自分を評価する感覚」だ。
大阪本町の7.2万のワンルームで、毎晩電気を消したあとに3分泣いて、生理前に有給を消化して、転職サイトを開いては閉じている状態で、「今の自分、最高!」と感じていたとしたら、それはむしろ現実から乖離しているか、痛みを感じない状態になっているかのどちらかだ。
低くなるのは、正常な反応だ。問題は「低い」ことではなく、「低いまま長く放置すること」であり、それが慢性化するときに本当の危険が生まれる。
2月からずっと泣いているなら、もう2ヶ月以上放置していることになる。タイミングとしては、今が動く節目だ。
「高める」前に「守る」、その具体的な順番
結論として、具体的な順番を書く。
1. 生理周期を記録する。
ルナルナや「ill(イル)」などのアプリで、「生理前7日間」に印をつける。「この1週間は特別にしんどい時期だ」と認識するだけで、自分への評価が少し客観的になる。「私がダメなのではなく、ホルモンの嵐の中にいるだけだ」という認識に切り替わる。
2. 体の土台を整える。
PMSが疑われるなら、ツムラ漢方の加味逍遙散(市販品あり)かエクエルあたりから試す価値がある。どちらも3ヶ月続けることで体の変化が出やすい。「今月は少し楽だった気がする」という感覚が、自己肯定感の回復の最初のサインになる。
3. 睡眠を最優先にする。
深夜0時を超えたらSlackを閉じる。翌朝確認する。それだけでいい。今日から全部変えなくていい。睡眠が7時間取れるようになると、感情のぶれ幅が物理的に小さくなる。
4. それでも限界なら、話す相手を選ぶ。
cotreeは初回カウンセリングから使える。継続するかどうかは自分で決められる。「一度話してみただけ」で十分だ。話したあとで感じる「少し軽くなった」という感覚が、次の一歩の燃料になる。
電気を消す前の3分が変わるとき
2026年の今、「自己肯定感を高める」コンテンツは検索すれば無限に出てくる。
でも、毎晩電気を消したあとに3分だけ理由もなく泣いている24歳に、感謝日記は何も解決しない。
まず体。
次に話す相手。
そのあとで初めて、思考の話ができる。
順番が違うだけで、あなたは何もおかしくない。
もしあなたが「生理前の1週間だけ感情のコントロールが効かなくて、有給が消えていく」なら、まずツムラ漢方のPMS向け製品(加味逍遙散)かエクエルを3ヶ月試してみることをすすめる。それでも「誰にも言えない重さ」が続くなら、cotreeでの初回カウンセリングを予約する価値がある。
体の嵐が静まれば、自己肯定感は自然と、戻ってくる。
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