SWEETFILLA / 2026-04-09

「ひとりの時間を楽しもう」は半分嘘だった。27歳が2年4ヶ月かけて気づいたこと

日曜の午前11時、世田谷の1Kで目が覚める。缶チューハイとNetflixで夜を終わらせる毎日。「ひとりの時間を楽しもう」とアロマもヨガも試したけど、なぜか空っぽな感じが消えなかった。彼氏いない歴2年4ヶ月の27歳が、やっと本当の問題に気づいた話。


日曜11時02分、「まだ視聴していますか?」

日曜日の午前11時2分。世田谷の1Kのカーテン越しに光が差し込んでくるのに気づいて目が覚めた。スマホをタップすると、Netflixが「まだ視聴していますか?」の画面で止まっていた。昨夜の1時すぎに寝落ちしたらしい。布団の端に、飲みかけの缶チューハイが転がっていた。

ゆっくり体を起こして、カーテンを開ける気もしなかった。

木曜の帰り道に渋谷のファミマで買ったサラダチキン(ハーブ味、198円)と、ゆず味の缶チューハイ。帰宅してSlackを一通だけ確認して、そのままソファに倒れた。「そのまま見続ける」を押し続けながら、気づいたら深夜1時になっていた。

これが27歳の秋の、標準的な日曜日の朝だ。

IT企業のマーケ部で働いて4年目。田園都市線で通勤して、世田谷の1Kに月9.8万払って住んでいる。彼氏がいない歴は2年4ヶ月。去年マッチングアプリを3つ試して、全部退会した。

去年の12月、職場の同期の橋本さんが婚約した。飲み会で「おめでとう!」と笑顔を作りながら、帰りの三軒茶屋駅のホームに立ったとき、ぼんやりした。泣くわけでもなく、妬ましいわけでもなく、ただ、なんとなくぼんやりした。

そういう夜が続くと、人は自然と「ひとりの時間を楽しもう」という結論に行き着く。私もそうだった。

検索結果に並ぶ「楽しみ方」が、何かずれている

去年の11月ごろ、「ひとりの時間 楽しみ方 女性」と検索した。

出てきた記事のほとんどは、「アロマキャンドルを焚いて好きな音楽をかけましょう」「週末に早起きして朝カフェを楽しんでみては」「趣味を持つことで自己肯定感が上がります」という内容だった。

全部、やっていた。

アロマも焚いた。カフェで本も読んだ。ヨガも2ヶ月続けた。ジムにも入会した(月6,000円、3ヶ月で退会した)。それでも日曜の夜9時ごろ、暗い部屋でアロマの香りを嗅ぎながら思ったのは「これで楽しいはずなのに、なんで空っぽな感じがするんだろう」ということだった。

問題の場所が違ったのだ、と今は思う。

「ひとりの時間を楽しもう」という検索は、本当は「ひとりでいることへの不安を解消したい」という気持ちから来ていた。でも検索して出てくる記事は、その不安を直視させてくれない。「ひとりでも充実できる、問題ない」という結論に向かって、気持ちよくリードしてくれる。

それは半分は正しい。でも半分は、本当の問題を後回しにすることでもある。

「ひとりを楽しめる女性」という言葉の、ちょっとした罠

「ひとりでも楽しめる人って素敵だよね」という話は、よく聞く。

それは本当のことだと思う。自分の時間を充実させることは大事だし、誰かに依存せずにいられることは強さだ。でも同時に、その言葉が「ひとりでいることの正当化」になっていないか、一度問い直してみてほしい。

私の場合、正直に言えば、ひとりの時間を「楽しんでいた」のではなく「慣れていた」だけだった。

198円のサラダチキンを買って、缶チューハイを1本開けて、Netflixをつけながら深夜1時に寝る。そのルーティンは外から見れば「ひとりの時間を謳歌している」に見えるかもしれない。でも実際は、誰かに連絡することへの恐怖心が、少しずつ育っていた。

去年試した3つのマッチングアプリ。最初はPairs、次はwith、最後はOmiai。全部退会した。マッチしても会話が続かなかった。会えても2回目がなかった。そういうことが続くと、アプリを開くこと自体が怖くなる。「また空振りするかもしれない」という感覚が積み上がって、最終的にアプリを消すことが「自分を守る」行為になっていた。

でも本当は、「傷つきたくなかった」だけだ。

三軒茶屋のホームで、自分に正直になった夜

12月の飲み会の帰り、三軒茶屋で田園都市線に乗った。夜の11時半ごろ。混んでいる電車の窓に、自分の顔が映っていた。

「このままひとりを上手に生きることを、選んでいくのか」と思った。

それはそれでひとつの生き方だ。でも27歳の私は、それを「選んでいる」のではなく「なんとなく落ち着いてしまっている」のだということに、正直気づいていた。本当は誰かと話したかった。土曜の朝に「今日どうする?」とLINEを送り合える人が欲しかった。

「ひとりの時間の楽しみ方」を完璧にすることは、その欲求に蓋をすることにもなりうる。

ひとりでいることへの恐怖を、充実した孤独に塗り替えようとしていた。でも塗り替えても、下地は変わらない。

今年の1月、もう一度Pairsを入れた理由

それで2026年の1月、もう一度Pairsを入れた。一度退会したアプリだ。

前回と変えたのは「目的」だ。

「いい人を見つけよう」ではなく、「週に一度だけ、知らない人と1時間話す練習をしよう」という感覚で始めた。田園都市線の往復、ファミマの往復、Netflix——それだけで埋まっていた生活に、「知らない人と会う」という変数を一つだけ加えてみる実験。

Pairsを選んだのは、国内最大級の会員数という理由が大きい。会員数が多いことの何がいいかというと、「この一人に合わなかった」が大きな失敗に感じにくい。次の選択肢がある。少ない母数の中で一人と合わなかったとき、「やっぱり私はダメなんだ」と落ち込みやすい。でも選択肢が十分にあると、「合う人を探しているプロセスの途中」という感覚が保てる。再挑戦するハードルが、体感でかなり下がった。

最初は「週1回、カフェで1時間だけ」というルールを自分に設けた。うまくいかなくてもいい。ただ、誰かと話す時間を生活の中に差し込んでみること。

それだけで、日曜の夜の「空っぽ感」が少し薄れた。

withの性格診断で、自分が見えた

Pairsと並行して、withも改めて使ってみた。

withの特徴は、性格診断の精度にある。自分がどういう傾向を持っていて、どういう相手と相性が出やすいかを、数値と言語で見せてくれる。

前回使っていた頃は「マッチングアプリ=自分が評価される場所」という感覚が強くて、プロフィールを見られるたびに緊張していた。でも今回は、まず性格診断の結果を読み込むことから始めた。「私はこういう人間なんだ」という再確認を、アプリを通じてやってみた。

自己理解は、一人でもできる。でも他者との比較の中で見えてくるものの方が、輪郭が鮮明なことがある。ひとりで内省するより、withの診断結果を見ながら「あ、私こういう反応をするタイプなんだ」と気づく方が、自分の解像度が上がった気がした。

「ひとりの時間に自分と向き合う」という行為は正しい。でもその向き合い方に、他者という鏡を持ち込むことで、深みが変わる。アロマキャンドルの前で一人でノートに書くより、誰かとのやりとりの中で「自分がどういう人間か」が浮き彫りになった。

世田谷の1Kは変わっていないけど、何かが変わった

今でも日曜は11時ごろに起きる。ファミマのサラダチキンも相変わらず買う。Netflixも見る。

でも今は、それが「逃げ場」じゃなくて「充電の時間」になっている感覚がある。

違いは小さい。でも確かにある。ひとりの時間を楽しむために何かを変えたわけじゃない。ひとりの時間を「全部」にしなくなっただけだ。

週に一度、誰かと会う予定がある。それだけで、ひとりでいる時間の質が変わる。アロマキャンドルを焚かなくても、高いコーヒーを淹れなくても、Netflixをぼんやり見ている時間がちゃんと「休んでいる時間」になる。月9.8万の家賃を一人で払う部屋が、少し広く感じる。

「ひとりの時間を楽しめない」と感じている人は、ひとりの時間に問題があるのではないかもしれない。ひとりの時間が「全部」になっているから、充実させないといけないプレッシャーがかかる。そのプレッシャーが、空っぽ感を生んでいることがある。

もし「ひとりの時間の楽しみ方」を検索しているなら

ひとりでいることが好きな自分と、誰かとつながりたい自分は、矛盾しない。

「ひとりの時間の楽しみ方」を検索しているなら、もしかしたら後者の気持ちを見て見ぬふりしていないか、一度問い直してみてほしい。

もし「また傷つくのが怖い」「うまくいかないかもしれない」という気持ちでマッチングアプリをやめているなら、Pairsを会員数の多さを理由に選んでみることをすすめたい。選択肢が多ければ、一度の失敗が全体の失敗に感じにくい。「この人とうまくいかなかった」が「私には合う人がいない」にならずに済む。再挑戦のコストが、体感で変わる。

そして「自分のことをもっとわかってから始めたい」と思うなら、withの性格診断から入ることも一つの手だ。自分を知ることと、誰かと出会うことを同時に設計できる。「評価される場所」ではなく「自分を知る場所」として入ると、恐怖心のハードルが下がる。

世田谷の1Kで、深夜1時にNetflixをつけながら眠る夜は、悪い夜じゃない。でも、それが「全部」じゃなくていい。

ひとりの時間は、外側を整えなくても、静かに充実する。ただ、ひとりの時間だけを完璧にしようとするのをやめたとき、はじめてそれができる。

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