深夜1時17分。
帰り道のコンビニで買ったサラダチキン(198円)と缶チューハイ(178円)のビニール袋を、玄関の鍵を開けたまま床に置く。スマホの通知は0件。
マッチングアプリのアイコンを長押しする。「削除しますか?」。削除する。
これが3回目——Pairs、tapple、with。1年間でこの3つを順番に試して、3つとも消す。課金した合計金額は4万2000円超。デートに漕ぎ着けたのは5回。でも「もう一度会いたい」と思えた相手は0人。
平日の帰宅は21時過ぎで、自炊する気力は残っていない。週末は朝11時まで寝て、深夜1時過ぎにNetflixを消す。彼氏がいない期間は2年4ヶ月。同期が婚約した飲み会で、自分の笑顔が本物かどうかわからない。
そして翌朝、電車の中でまた検索している。「マッチングアプリ 女性 20代 おすすめ 比較 2026」。
ここで一度、はっきり言っておきたいことがあります。
その比較記事は、あなたのために書かれていません。
「おすすめランキング」という名の広告
マッチングアプリの比較記事の多くは、成果報酬型広告(アフィリエイト)で収益を上げています。
仕組みはシンプルです。サイト訪問者がリンクをクリックしてアプリに登録すると、サイト運営者に報酬が入る。だからランキング上位に来るアプリは、必ずしも「読者に最も合うアプリ」ではなく、「そのサイトが広告契約を結んでいるアプリ」になりやすい。
「当サイト独自調査によるランキング1位」という表記を見たときは、その背景を想像する必要があります。
悪意があるとは限りません。でも、「自分に合うアプリを正直に教えてほしい」という読者のニーズと、「登録数を最大化したいサイト運営者のニーズ」は、方向性がずれることがある。これは構造的な問題で、個人の誠実さの問題ではありません。
だからここでは、4万2000円を溶かして5回デートして「また会いたい人」が0人——そこまで消耗するケースを前提に、目的別で正直に整理します。
3つ試して全滅した、本当の理由
まずPairsから始める人が大半です。
「会員数No.1」は事実です。都内にいれば、1日に20〜30件のいいねが来ることもある。でも、最初の1ヶ月のいいねが合計18件で止まるケースも珍しくありません。理由ははっきりしています。写真1枚(カフェで撮ったもの)、自己紹介が4行、プロフィール項目の半分以上が空欄。その状態で「なんで出会えないんだろう」と悩んでいるのです。
会員数が多いということは、競合も多いということ。選ばれる側でもあります。Pairsは母数の大きさが武器ですが、その分「ちゃんとしたプロフィールを持つ人」しかマッチしない仕組みになっている。雑に放り込んで勝手に結果が出るアプリではありません。
次に試されるのがtapple。UIがわかりやすく、気軽に使えます。デートには漕ぎ着けやすい。でも「この人と将来の話をしてみたい」という感覚にはなりにくい。アプリの空気がカジュアルな分、繋がり方もカジュアルになりやすいからです。それ自体は悪いことではありませんが、真剣交際を求めているならズレが出ます。
3つ目がwith。心理テストや性格診断でマッチングするコンセプトは他と違って面白い。Pairsより会員数は少ないものの、「話が合う人を探したい」という志向のユーザーが集まっています。ただし、ここでもプロフィールを作り込まず、診断結果だけ埋めて放置すれば、やはり3ヶ月で削除することになります。
3つ削除したあとに見えてくることがあります。
全滅の原因は、アプリではありません。「自分がどういう人に会いたいか」を言語化していないこと、そしてプロフィールをまともに作っていないこと。この2点に尽きます。
スーパーに入って、棚を一切見ずにレジに直行するようなものです。食材を選んでいなければ、何も作れません。
Pairs:東京で選択肢を最大化したいなら
2026年現在、東京でマッチングアプリを使うなら、Pairsは外せません。
会員数の多さが確率に直結します。母数が大きければ自分に合う人が含まれる可能性は上がる。Pairsが提供する「コミュニティ機能」——趣味・価値観・ライフスタイルで集まる小グループ——を活用することで、顔写真だけで選ぶより「共通の話題がある人」と繋がりやすくなります。
アウトドア好き、読書好き、映画好き、料理好き。どんな趣向でもPairsのコミュニティには同じ興味を持つ層がいます。これを使わずにPairsを「全滅した」と言うのは、フロアを何も見ずに帰るのと同じです。
ただし、プロフィールを作り込まないと何も始まりません。写真は自然光の屋外で撮ったもの3枚以上、自己紹介は趣味の名前だけでなく「なぜそれが好きなのか」を1行書く、回答できる項目は全部埋める。これをやった上でPairsを使えば、結果はまるで変わります。
月額はスタンダードプランで約3,400円(男性課金制)。女性は基本無料で使えます。
with:「話が合う人を探したい」なら
withが他のアプリと根本的に違うのは、MBTIをベースにした性格診断と心理テストでマッチングを促すアプローチです。
「顔写真を先に見ない」という選択肢があります。これは、「見た目で選んでいたらいつも同じ失敗をしている」という感覚がある人に効きます。自分でも気づいていない「好みの型」に縛られているとき、別の軸で人を見る練習になるからです。
Pairsより会員数は少ない。でも「性格の相性を重視したい」というユーザーが集まっている分、話が噛み合いやすい傾向があります。初回メッセージも、お互いの診断結果から入れるので「なんて話しかければいいか分からない」が起きにくい。共通言語があると、会話は始めやすくなります。
マッチングアプリを複数試して「なんか違う」を繰り返している人、「条件よりも相性を重視したい」という人には、withが合う可能性が高い。月額は約3,500円前後(プランによって変動)。
Omiai:「婚活として、ちゃんとやる」と決めたなら
Omiai は名前通り、婚活色が強いアプリです。
プロフィールに年収・職業・最終学歴・結婚への意思・子どもへの考えを記入する欄があります。最初は「情報量が多くて重い」と感じるはずです。でも、この「重さ」こそが機能しています。書くべき項目が多い分、真剣に相手を探している人が集まりやすいからです。
Pairsが「まず出会いの数を増やす」ためのアプリだとすると、Omiai は「真剣度の高い相手と質の高い出会いをする」ためのアプリに近い。
同時並行で使うなら、Pairsで広く当たってOmiaiで絞るという使い方が合理的です。月額は約3,600円程度。「まだ遊びたい気持ちもある」段階では少し重いかもしれませんが、「次で決めたい気持ちが少しある」という段階なら、Pairsと並行して使う価値があります。
「まだ早い」と思うなら使わなくていい。でも「早くはないかも」とどこかで思っているなら、視野に入れてください。
アプリを変える前に、まずこれをやる
3つ全滅する経験から導かれる、一番の教訓はこれです。
アプリを変える前に、プロフィールを変えること。これをやらずにアプリだけ変えても、結果は変わりません。
写真の選び方。 「盛れる1枚」より「自然な表情の3枚」が強い。室内・暗い・加工過多の写真より、屋外・自然光・笑顔が伝わるもの。趣味が伝わる写真(本を持っている、カフェにいる、スポーツしているなど)が1枚あると、相手に会話の入口を渡せます。
自己紹介の書き方。 「よろしくお願いします」で終わるテキストは、書いていないのとほぼ同じです。「なぜそのアプリを使っているか」「どういう相手と話したいか」を1〜2行書くだけで、マッチング後の会話の質が変わる。趣味の名前より「なぜそれが好きなのか」を書く方が人格が伝わります。
最初のメッセージ。 「こんにちは!プロフィール拝見しました」は大量に届きます。相手のプロフィールの具体的な一点(「◯◯が好きなんですね、先週自分も行きました」など)に触れたメッセージは、返信率が明確に変わる。これはどのアプリでも共通します。
アプリを変える前に、自分の使い方を変える。この順番が正しい。
アプリを削除した夜に、返事をするとしたら
深夜1時17分、サラダチキンの袋を床に置いてアプリを消した——その夜に返事をするとしたら、伝えたいことは一つです。
「向いてない」のではなく、「使い方が雑だっただけ」。
マッチングアプリは道具です。良い包丁を買っても使い方を知らなければ何も切れない。逆に言えば、使い方を変えれば結果も変わる。4万2000円は授業料になります。
2026年、20代のうちに真剣に相手を探したいなら:
選択肢を最大化して確率を上げたいなら Pairs(会員数・コミュニティ機能の充実)。性格の相性を重視して話が合う人と繋がりたいなら with(診断ベースのマッチング)。婚活として本気でやると決めたなら Omiai(真剣度の高い層が集まる)。
どれか1つに決めて、プロフィールをちゃんと作って、3ヶ月続ける。
深夜1時にアプリを削除する夜は、もう要らない。
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