PMSで性欲が「変わる」は異常じゃない——ホルモン周期と性衝動の医学的真実

PMSで性欲が「変わる」は異常じゃない——ホルモン周期と性衝動の医学的真実 セルフプレジャー・セルフケア
Image: Authentic Stock via stocksnap

木曜日の夜10時43分。渋谷から田園都市線に乗り込んで、沙織(28歳・都内営業職)はスマホの検索窓に打ち込んだ。「PMS 性欲 増える 異常」。

先週から生理前の不快感が続いていた。彼氏と3年付き合っているが、最近は帰宅すると無言でスマホを見ている時間が増えていた。でも生理の2週間前ごろ、急に彼氏のことが気になってしょうがなくなるあの感覚——先月は生理直前になると逆に何もかも億劫になって、彼氏の存在すら重く感じる日があった。波が激しすぎて、「自分、おかしいんじゃないか」とずっとモヤモヤしていた。

電車が二子玉川を過ぎるころ、医学系YouTubeでいつも参考にしているチャンネルの動画が目に入った。「月経周期と性欲の変化」。再生数3万。「やっぱりみんなそうなのか」と思った瞬間、少しだけ息が楽になった気がした。

※この記事は医学的・一般的情報を提供するものであり、診断・治療を目的としません。症状が続く場合は医師・婦人科・かかりつけ医に相談してください。

— PMSとは、生理の3〜10日前から始まり生理開始とともに改善する身体的・精神的症状の総称(日本産科婦人科学会定義)。性欲の増減もその症状パターンに含まれ、ホルモン周期によって引き起こされる自然な変化として報告されている。

「おかしい」という感覚、今日から手放していい

Konrad Summers from Santa Clarita (Valencia) , California, USA via wikimedia

PMSで性欲が変わることを恥ずかしいと思っている女性は多い。でも今日、その感覚は手放していい。

正確に言えば、月経周期を通じて性欲が変化するのは、女性の身体が正常にホルモン分泌を行っている証拠だ。変化がないほうが、むしろホルモン分泌の停滞を疑うべきケースがある。

「PMSで性欲が上がる自分はおかしい」という感覚の根っこには、「女性は生理前に気分が落ちて、性的なことを考えるべきではない」という、どこかで刷り込まれた思い込みがある。でも実際の医学的プロセスは、そんなに単純ではない。

排卵後からPMSまで——ホルモンが作り出す「性欲の地図」

月経周期を通じたリビドーの変化は、主に3つのホルモンが関係している。エストロゲン・プロゲステロン・テストステロンだ。

卵胞期(生理終了〜排卵):エストロゲンが上昇し、身体的・精神的なエネルギーが高まる。この時期に性欲が高まりやすいと報告されている。

排卵期:LH(黄体形成ホルモン)の急上昇に伴い、テストステロンも一時的に上昇することがある。多くの研究で、排卵前後が1ヶ月の中で性欲のピークになりやすいとされている。

黄体期(排卵後〜生理前=PMS期):プロゲステロンが優位になる。これが情緒不安定・疲労感・浮腫みといったPMS症状を引き起こしやすい時期だ。しかし、テストステロンとエストロゲンの比率変化によって、この時期に性欲が増す女性も一定数いるとされている。

Roney & Simmons(2013年、Hormones and Behavior誌掲載)の研究では、エストロゲンとテストステロンの水準が性欲の変化を予測する指標になることが示されている。つまり、「PMSで性欲が上がる」も「PMSで性欲が下がる」も、どちらもホルモン変動の反映であり、異常ではない。

Q:生理前に性欲が「上がる」のと「下がる」の、どっちが多いの?

A:個人差が大きく、同じ人でも周期ごとに逆転することもある。

統計的傾向としては排卵期に性欲のピークが来やすく、PMS期(黄体後期)は性欲が低下しやすいとされている。ただし「低下しやすい」はあくまで傾向であり、PMS期に性欲が増加する女性も少なくない。

要因として考えられているのは、個人のテストステロン感受性、プロゲステロンへの反応パターン、ストレス・睡眠状態、パートナーとの関係性など、ホルモン以外の要素も絡み合っている。自分の「パターン」を知ることが、最初のステップ。それさえわかれば、「またこの時期か」と客観的に流せるようになる。

PMSの「矛盾」が招く、パートナーとのズレ

沙織が一番困っていたのは、ここだった。

生理2週間前(排卵後すぐ)は彼氏に会いたいと思う。生理1週間前(PMS本番)になると、逆に何もしたくなくなる。彼氏と過ごしていても「触れてほしくない」と感じる夜がある。彼氏は「なんで急に冷たくなるの?」とは言わないけれど、去年から「帰ってきてもスマホばかり見てる」と一度だけ言われた。なんとなく気まずい空気が流れていた。

この「矛盾の2週間」はコミュニケーション不足ではなく、ホルモンの仕業だ。それをパートナーに説明できれば、関係の空気は大きく変わる可能性がある。

Q:彼氏に「PMSで気持ちが変わること」を話すのは変じゃない?

A:変じゃない。むしろ、関係のために有益な情報共有だ。

「PMS期は少し一人の時間がほしい日がある」「排卵後はやたらそばにいたくなる時期がある」——このレベルの共有は、カップルのコミュニケーションとして普通の範囲だ。いきなり全部説明するのはハードルが高いと感じるなら、まず自分のパターンを3ヶ月分把握してから伝えた方が説得力がある。データがあれば、「感情的な話」から「情報の共有」にフレームが変わる。

【ここまでの要点】PMSで性欲が変化するのは、女性ホルモンの正常なサイクルの反映であり異常ではない。排卵期に性欲が高まりやすく、黄体期(PMS期)には変化の方向が人によって異なる。自分のパターンを把握してパートナーと共有することで、「矛盾」はコントロール可能になる。

ルナルナで「自分のホルモン地図」を3ヶ月作る

沙織が実際に始めたのが、月経周期の記録アプリだった。

ルナルナは生理日の記録だけでなく、体温・体調・気分を日々ログできる機能がある。「親密な気持ちの強度」「パートナーへの気持ちの温度感」「PMSの強度」を毎日記録し続けて、2ヶ月目から傾向が見えてきた。生理開始から12〜14日目に気分が上がりやすく、19〜22日目ごろから「独りでいたい感覚」が来る。毎月ほぼ同じパターンだった。

自分のサイクルがデータになると、「また来たな」と客観的に見られるようになる。感情の波に飲み込まれていたのが、「乗り物に乗っている感覚」に変わる——そんな表現をする女性は少なくない。ルナルナは国内最大規模の月経管理アプリで、基礎体温グラフとホルモン解説が充実している。PMSの自己管理を始めるなら、最初に入れるべきツールだと思う。

ホルモンバランスのサポートに「エクオール」を選ぶ理由

ホルモン周期の波をゆるやかにしたいと思ったとき、沙織が調べたのがエクオールだった。

エクオールは大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されてできる成分で、エストロゲンに似た構造を持つとされる植物性エストロゲン様物質だ。日本人女性の約50%が腸内でエクオールを産生できないとされており、産生できない人はサプリメントで補うアプローチが注目されている(大塚製薬・研究情報)。

ただし、エクオールはホルモン補充療法(HRT)とは異なり、医薬品ではなく健康食品として販売されているものがほとんど。PMS症状に対する治療効果を保証するものではなく、個人差もある。セルフケアの一環として取り入れる場合は、継続的な使用と、できれば婦人科医との相談をあわせておこなうことをすすめたい。

Q:PMSの性欲変化がひどすぎる場合、婦人科に行くべき?

A:日常生活や人間関係に影響が出ているなら、行く価値がある。

PMSとPMDD(月経前不快気分障害)は別物だ。PMDDはPMSより重症で、強い抑うつ・怒り・対人関係への支障などが生理前に繰り返される。性欲の急激な変化も、PMDDのサインになりうるとされている。

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、PMDDは低用量ピルやSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などで対応できる場合があるとされており、「我慢するしかない」ものではない。「毎月、パートナーとの関係が壊れかけている」「仕事に支障が出ている」「自分の感情がコントロールできない感覚が3ヶ月以上続いている」——この状態なら、婦人科オンライン診療の活用を検討してほしい。予約から診察・処方まで全部スマホで完結できるサービスも増えており、職場や家族に知られずに相談できる環境は整ってきている。

Q:今すぐできるPMSサイクルのセルフケアは?

A:まず記録、次にサポート、そして必要なら専門家へ——この順番で整理すると動きやすい。

1. 記録:ルナルナ等のアプリで自分のパターンを3ヶ月分見える化する
2. 栄養:マグネシウム・ビタミンB6・大豆イソフラボン(またはエクオール)はPMSのセルフケアの文脈で取り上げられることが多い(効果の保証ではなく、セルフケアの一環として)
3. 睡眠と運動:規則正しい睡眠と有酸素運動は、ホルモンバランスの安定に寄与する可能性があると報告されている
4. パートナーとの共有:データを持って話すと、感情論ではなく情報共有のフレームに変わる
5. 専門家:上記で改善しない、または症状が重い場合は婦人科へ

あなたがPMSで「変わる」のは、ホルモンが正直に働いている証拠だ

田園都市線の中で沙織が感じた「少し息が楽になった」という感覚の正体は、「自分を責めなくていいとわかった」ことだと思う。

PMSによる性欲の変化は、あなたの異常ではなく、身体の正直な反応だ。

ただし、「正常だからそのまま放置でいい」という意味ではない。自分のパターンを知り、パートナーと共有し、必要ならサポートを使う——それが2026年の自分へのケアだ。

もし今、「毎月あの時期になると自分が嫌になる」「パートナーとのズレが積み重なっている」と感じているなら、まずルナルナで3ヶ月分の記録を始めてほしい。データがあれば、次のステップが見えてくる。エクオールを試してみるのも、婦人科オンライン診療に相談するのも、その次でいい。

何も知らずに波に飲まれ続けることの方が、よっぽど消耗する。

参考・引用

  • Roney JR, Simmons ZL. “Hormonal predictors of sexual motivation in natural menstrual cycles.” *Hormones and Behavior.* 2013;63(4):636-645. (PubMed PMID: 23994488)
  • 日本産科婦人科学会「月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)」診療ガイドライン
  • 大塚製薬「エクオールと女性の健康に関する研究情報」(エクオール産生能に関する解説)
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