深夜0時のファミマ、198円のサラダチキン
平日の夜11時45分。世田谷のファミリーマートで、サラダチキン(プレーン、198円)と缶チューハイ(レモン9%、158円)を手に取る。レジに並びながら、スマホのロック画面を確認する。通知、なし。
マッチングアプリを3つ同時に入れていた去年の7月から、この動作が染み付いた。帰り道にスマホを確認する。通知を見る。いいねが来ていたとしても、プロフィールを開いた瞬間に「違う」とわかる。
7ヶ月で計算したことがある。マッチングしたのは合計43人。実際に会ったのは11人。2回以上会ったのは3人。そして今、誰も残っていない。
これを「失敗」と呼ぶべきか、「普通」と呼ぶべきか。都内のIT企業でマーケターをしている27歳が、マッチングアプリの現実をそれなりに知った上で断言する。あれは失敗だった。でも、失敗の本当の理由は、私が思っていたものと全然違った。
「写真を変えれば変わる」という嘘
去年の4月、Pairs・with・tappleの3つを同時に始めた。まずネットで徹底的に情報収集した。「プロフィール写真は清潔感が命」「自然光、笑顔、カフェで撮る」「自己紹介文は800字以内」「趣味は2〜3個に絞る」。全部やった。
友人に頼んで、代官山のカフェで撮影した。3時間かけて30枚以上撮って、3枚を選んで、自己紹介文は6回書き直した。Pairsのいいね数は最初の週で57に跳ね上がった。withもtappleも同様。数字だけ見れば、うまくいっていた。
でも、実際に会い始めてから、何かがずっとおかしかった。
「趣味は読書です」と書いたから、本の話をしてくれる人が来た。でも私が読書と書いたのは「読書家っぽく見せたかった」からで、実際は月1冊も読めるかどうかだ。「料理が好き」と書いたけど、週3以上はコンビニ飯で、昨夜の夕飯もファミマのサラダチキンだった。「アクティブな方が好み」と書いたけど、週末は朝11時まで寝て、深夜1時までNetflixを見ている。
プロフィールで演じた「私」と、実際の「私」が全然違う。だから会うたびに、どこかぎこちない空気が流れた。それでも続けた。もっとうまくやれば、いい人に出会えると思って。
マッチング43人、心に膜が張ったまま
Pairsで24人、withで12人、tappleで7人。合計43人とマッチングして、11人に会った。
悪い人は一人もいなかった。本当に一人も。清潔感もあったし、話題も豊富だったし、食事の場所もちゃんとしていた。でも「また会いたい」という気持ちが湧かなかった。なぜか心に薄い膜が張っている感じが、ずっとあった。
1Kの家賃9.8万の部屋に帰るたびに、サラダチキンを食べながら考えた。
たぶん、私が「面接官モード」で会っていた。相手を評価するために座っていた。「この人の清潔感は合格か」「年収はどのくらいか」「結婚を考えているか」「私の理想に近いか」。頭の中にチェックリストを持って、食事をしながらスコアリングをしていた。
相手も同じことをしていたと思う。でも「相互面接」から恋愛感情は生まれない。私は好かれるプロフィールを作ることに必死で、好かれる関係性を育てることを、完全に後回しにしていた。
12月の飲み会、笑顔が作れなかった
去年の12月。職場の同期が婚約した。飲み会の席で報告があって、みんなが「おめでとう」と言った。私も言った。笑顔で言った。でも飲み会のあと、世田谷の駅から1Kの部屋まで15分歩く間、ずっと無表情だった。
悔しかったわけじゃない、とは言い切れない。焦ってたわけでもない、とも言い切れない。ただ「何かが正しい速度で進んでいない」という、漠然とした感覚があった。同期は普通に生きていて、普通に人を好きになって、普通に婚約した。私は7ヶ月間、43人のプロフィールを読んで、11回ご飯を食べて、それで今、誰もいない。
その夜、スマホを開いてPairs・with・tappleを全部消した。アイコンを長押ししてバツを押す、3回。あっさりと消えた。
消してから2週間は何も考えなかった。Netflixで韓ドラを深夜1時まで見て、朝11時に起きて、ファミマでホットスナックを買ってまた見た。Pairsに課金していた月額3,400円が浮いた。
失敗の正体は、「間違った頑張り方」だった
2ヶ月後の2月に、withだけを入れ直した。
前回との違いは一つだけ。「好かれるプロフィールを作る」のをやめた。代わりに「本当のことだけを書く」にした。
週末は朝11時まで寝る、と書いた。平日の夜は帰りにファミマに寄ることが多い、と書いた。「韓ドラ依存症気味です」と書いた。料理は週2しかしない、と書いた。読書は実は月1冊も読まない、とも書いた。
いいね数は前回の3分の1以下になった。でも、マッチングした人との会話の質が全然違った。「私も週末昼まで寝てます、同士だ」「韓ドラ何見てますか、最近何がおすすめ?」という言葉から会話が始まって、それが自然に続いた。
そして何より、会うのが怖くなくなった。本当の自分をそのまま出しているから、会ってもプロフィールと実物のギャップがない。緊張したまま「読書が好きな私」を演じ続けなくていい。気づいたら素で話していた。
Pairsじゃなく、withを選び直した理由
withを選び直した理由は、性格診断の精度にある。外見や職業よりも価値観と生活リズムのマッチングを重視した設計で、自分の診断結果に近い人が優先的に表示される。「朝11時まで寝るOL」が「朝5時起きのアウトドア男性」に出会う確率が自然に下がる。最初の食事で「週末何してますか」「だいたい家です」「え、もっとアクティブかと思ってた」という気まずい空気になる前に、弾いてくれる。
Pairsは会員数で圧倒している。国内最大規模の母数があるから、選択肢の絶対数は多い。でも去年Pairsで経験したのは「選択肢が多すぎて、選ぶことが仕事になる」という消耗だった。1週間で57いいねが来た。でも1件1件確認して、返信して、会う約束をして、断って、断られて——それだけで夜が終わった。
Omiaiも一時期検討した。真剣交際・婚活目的のユーザーが多く、遊び目的の人が少ない環境は魅力的だった。ただOmiaiはプロフィールに「誠実さ」「真剣さ」を求める空気があって、「週末昼まで寝てます」と正直に書く私は少し浮きそうだと判断して外した。
アプリ自体の優劣ではなく、自分の「本当の生活」がどの空気感に馴染むか。それで選ぶのが正解だと今は思っている。
もし今、アプリを全部消したいと思っているなら
3つのアプリを7ヶ月試して全滅した上で言う。アプリを消したくなるのは「疲れた」のではなく、「間違った方向に頑張りすぎた」サインだ。
消していい。1週間、何も考えなくていい。Netflixでも韓ドラでも、ファミマのホットスナックを食べながら見てればいい。
ただ、戻るときに変えてほしいことが一つある。
「好かれるプロフィール」を作るのをやめること。本当のことだけを書くこと。コンビニ飯が続いていること、週末昼まで寝ていること、読書は実はほとんどしないこと。それを書いた上で来てくれる人が、会ったときに薄い膜のない会話ができる。
今年、withを入れ直して4ヶ月が経った。マッチング数は去年の半分だ。でも2回以上会った人は去年の倍いる。そして今、3ヶ月続いている人が一人いる。毎週土曜日の夜、ファミマのサラダチキンの代わりに、その人が作ったパスタを食べている。
「本当の私」を出した方が、数は減っても残る人が変わる。それが7ヶ月分の失敗体験から出た、唯一の結論だ。
もし今、同期の婚約報告を聞いた帰り道みたいな気持ちでこれを読んでいるなら。今夜のアプリは閉じていい。そして気持ちが落ち着いたとき、本当のプロフィールで、withをもう一度だけ試してみてほしい。
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